第220夜(4)「A.Wをたずねて・彼は渦の中でいっそう目を瞑る

前回記事(「第220夜(3)」)へのコメントのリプでたまたま 古典SFの『輪廻の蛇』の名が出たんですよ。
あらためて文庫本を引っ張り出してみると、原題は“-- All you Zombies --”でした。  
(…とはいえ本物のゾンビが出てくるホラーではなく、Dグレに何か関連したストーリーでもありませんが。 今春は『プリデスティネーション』というタイトルで映画も公開されてて、単純に面白かったので SF好きさんにはおすすめですv^^)

ひょっとして星野先生もハインラインがお好きだったかなあ/// なんて思うとつい顔がにやつい(←←←重度)


そんなこんなで浮上してきた ウロボロス(=尾を飲む蛇)のイメージ。

この“蛇(ヘビ)の円環”も、1匹で形作るものと 2匹連なって喰い合うものとがあるらしく、


結局 気になるマナとネアの「喰う」表現は、この2匹の暗示だったかも知れないなと。

“2匹もの”のウロボロスでも、そのうち一方だけが 王冠と翼をつけているのがあるんですよ・・・ 勝ち組vs負け組…

まるで「千年伯爵」の座をめぐる マナとネア2人の運命の象徴のようで (´_`。)


あ、てことはあれも…? 


ふたご座の守護神はギリシャ神話のヘルメスですが。

その神様の持つ杖にも“2匹の蛇”
が巻き付いています。
 

こちらは喰い合ってはいませんが、螺旋(らせん)状に絡みながら上昇していき 最上部で向き合う2匹。

互いにそれと気付かぬまま 出会いと別れを繰り返す、アレンとマナ(千年伯爵)のイメージでしょうかね…

ただ (アレンとネアを同一人物と考える)私には、
これもまた 52年前から続く2人の姿に見えてしかたがないです。



前振りが長くてどうも(´Д`;)
「蛇と螺旋」繋がりで、ようやく「リンク」の話もできそうです。

彼の鮮やかなアクションシーンのカッコよさは言うに及びません。 こちらはもっぱら「象徴」に着目していこうかと。




▽ ハワード・リンク

ん~ ひとまず「中央庁」という組織のおさらいですね。

○ 中央庁 

cyuohcho.jpg (コミックス22巻第202夜より)
[リンク] 「枢機卿(カーディナル)---- 中央庁・黒の教団の最高指導者である教皇の 助言者たる高位聖職者たち」 「彼らは我ら組織の枢軸だ」(N217)

ここに着席している5人の枢機卿は、想像ですがあの5体の大元帥人形の声の主ですよね。
アポクリフォスは、彼らの中に紛れ込み その記憶改竄能力のフル活用で都合よく操っているんでしょう。
[アポクリフォス] 「アレンを処刑したりなんてしませんから大丈夫ですよ」(N202) という自信たっぷり発言の根拠は多分それ。

彼らが揃って首から下げているペンダントは、中央庁でも特権クラスの証でしょうか… ルベリエがリンクに渡したものとそっくりですけど… そんな大事そうな物、あげちゃって大丈夫なんですか? 
あ、いざという時には強行突破を可能にする「印籠」かな?^^;

会議テーブルのセンタークロスには中央庁のエンブレム。
十字の付いた聖杯が大きくあしらわれていますが、そこからあふれ出る水が“神の恩寵”というわけですよね。
象徴としての聖杯は、世界を構成する四大元素(火・水・風・土)中「水」に属し、トランプマークならハートに相当します。
聖杯の下には交差する2本の鍵。 タロットの「教皇」カードにも中央の人物の足元に描かれています。
これはバチカンの始祖・聖ペトロ(ペテロ)がキリストから授かった「天国の門の鍵」ですよね。 
この組織の権威の正当性の主張です。


ルベリエの計略によりハワード・リンクはアレンがノアと脱獄した晩 戦って殉職したことにされ、バチカンの共同墓地の彼の墓石には“385977番目のCLERGY(聖職者)”と刻まれています。

(リンクとは家族同然だったキレドリとゴウシは、本当に死んでしまったのに この墓所には入れてもらえなかったんですね…
命じられるままサードエクソシストとなり健気に「聖戦」を戦った彼らは、殉死ではなく“化物として退治”されてしまったので)


リンクは只今、ルベリエだけの密命を受け 極秘の単独活動中
ルベリエ自身は、中央庁の重要ポストに在籍しつつも最終的にはノアもイノセンスも殲滅し人間世界を取り戻す野望の持ち主。
[ルベリエ](リンクに) 「14番目を何者からも守り抜きなさい」「協力者に成り済まし 密かに奴の信頼を得て監視するのです」(N213)

神田の記憶を覗いたアポクリフォスには彼らの作戦もすっかり見抜かれていますが、あえて泳がされている格好です(N217)。


アポクリフォスによる記憶改竄にかかり、リンクが獄中で戦った記憶は“ノアと戦った”偽記憶とすり替えられたまま。
それでも彼は 自前の研ぎ澄まされた勘で、枢機卿姿のアポクリフォスが 人外の危険な存在であることは察知しています。


リンクの胸の十字傷。 
リナリーの足首、神田の腕と同様、イノセンスが人体を突き破った跡には こんな形の傷が残るんですね。
この致命傷を ズゥ老師の癒闇蛇(アトゥーダ)が救った経緯から、ここがリンクに移動した癒闇蛇の出入口になりました。



○ 癒闇蛇

in1b.jpg (『SQ.CROWN 秋号』掲載第220夜より)

[ズゥ] 「私の魔導ゴーレム癒闇蛇(アトゥーダ)だ…  術者の精気を吸って他者の傷を治す」(N196)
癒闇蛇  人から人へとり憑き生命の理(ことわり)を乱す 忌み忌みし魔術」(N213)

リンクの右の人差し指と小指にはチャン家の魔導印。 模様が少しずつ違いますがズゥやアルマの腕にもあったもの。

in3.jpg (コミックス21巻 P94より)

in4.jpg  in2.jpg
(コミックス21巻掲載画像 左:第196夜より  右:第195夜より)

さらにリンクの右手の甲部分には、大きく矢印を模した図形。 その周りに散る6つの点とか…… 
ここら辺の意味を解読できる素養が皆無で、残念です。

ただその名も「癒闇“蛇”」というくらいですから、中央の丸印は「蛇(じゃ)の目」の表現ではないでしょうか。

この矢印模様全体で、癒闇蛇の魔力を表現しているのでは、と思います

それよりも興味を引いたのは手首を取り巻く螺旋模様でしたね。
あれを連想しませんか?  DNAの二重螺旋
これぞ「命」の営みの象徴ですよ。
それが 脈動
(これも命の証)を打つ場所を取り巻くように描かれている。 

で、さっきの「蛇の目の矢印」は、その円環を突きぬけて上昇する形なんです。 

これはもう ズゥ老師の言う「命の理を乱す」図そのものですよね!!  
みだりに使ってはならない禁術とはいえ やはりカッコイイv 

絶望的な運命の輪に囚われたネアとマナを思えば、こういう掟破りの荒業が 希望の光に見えてきますよ。



○ 運命に打ち勝つ

リンクが あの長官に対し「狂ってゆくようだ」とまで感じていたとは 嬉しい誤算でした。

「ルベリエに媚び諂う重度の病人」などでないことはもちろんですが、人としてまっとうな心と自立した批判眼をしっかり自分の中に持っている…
甘えが一切許されない過酷な環境に最も順応していながら、これって凄いことではないでしょうか。

リンクも アレンを四六時中観ているうち、次第にその生き様の影響を受けて変わったところはあるでしょうね。

そのアレンを 長官は「14番目」として利用するため、故意に追い詰めたのだという
長官の命を信じて渡した卵核によって、次々と犠牲になっていく仲間達

まだ救えるものなら救いたいと。 ・・・・でもその力をリンク自身も内に秘めている筈ですが。


ルベリエも、「14番目」がどういう存在か理解しないまま アポの思うツボで動いているのが実に危なっかしいなあ(苦笑)

今後はリンクが 孤独に追いやられて自己完結しているネアを相手に、面白い化学反応を起こしてくれたらいいですね。

反発し合うイノセンスでもノアでもない… 第3の力の持ち主ですから。




早いもので『SQ.CROWN秋号』発売日から一月経ってしまいましたが(←や、ここの管理人がのろいんですすみません)
ここで第220夜の考察は一旦終了です。

何か思いついたらまた追加分はいつでも。 コメント受付は年中無休です~~よろしく。
(あ、クロスでまだ書いてない話があったんだ… 次回。)

だんだん物語の輪郭やテーマが姿を現し始めて面白かったですよねー!!(〃'∇'〃)

発売日が3カ月間隔って、とろい私のペースにはちょうど良くて有難いです。

次号は1月ですが、ちゃんと発売日が発表される前にジャンプフェスタなどもありますし。
情報が入り次第 告知には来ますね。

それではまた。




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コメント

Re: 無名さんへ(2度目)

それではあらためまして…

> イブを唆し、禁断の果実を喰らわせたのも、蛇でしたね。

はいそうですよね。
無名さんがここでわざわざ「食べる」でなく「喰う」という表現にされたのはこちらの記事内容に合わせて下さったのだと勝手に解釈して、この先 話を進めます~

…しかし 双方とも「喰う」表現になるとはいえ、私がマナネアの宿命に重ねた二匹蛇のウロボロスと アダムとイブのエピソードとでは、大分意味合いが違いますよね。

前者は「喰おう」とする対象につき、自分と敵対する存在とみなして食い潰し消し去ろうとするものですが、後者は提示されたものへの受諾を意味しますから、全くの正反対です。

また「蛇」についても、マナネアの囚われた“宿命”としての蛇の円環と、アダムとイブに 当然と思っていた事への疑問を持たせ開眼させたエデンの蛇とでは 方向性が逆です。
癒闇蛇の「蛇」はむろん後者の、宿命を打開する役どころですね。


そもそもこの仮想世界、七千年前に人類を造ったのはノアなので 彼らが正に人類にとって神に等しき立場なんですが。
どうもマナに憑いたメモリーの言い方によると、カテリーナが 千年伯爵(アダム)をそそのかしてダメにしてしまった イブと蛇を兼任する邪悪な存在のようですね。

しかし52年前の二人の出会いが無ければマナとネアは誕生しなかったし、後のアレン・ウォーカーの出現もなく… 
人類はアダムの順調なプラン通り破滅に向かうしかなかったわけで。
何も知らず考えず 主の言うなりになっていれば平和かというと、決してそんなことはないんですよね。 

どの道を選ぶかは自由だけど、大切なのは自分の頭で考えること。
多分そのへんを示唆するような台詞が、22巻第202夜には集中してますね。

[ティキ・ミック] 「感情ってもんがあるからさ “理解”したくなっちゃうんだよ」

[リンク] 「私たちはいつしか人形のようになった」

[アレン] 「知らないって怖いことですね」

きっとそれぞれが自力で 自分にしかない道を探る物語なんだろうと。

不足分の情報を想像で補うような怪しい考察を元に語ってますがwww おそらくDグレのテーマがそういうことなのだと思います。

コメント どうもありがとうございましたv
Secre

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漫画「D.Gray-man」は、2004年5月31日発売の『週刊少年ジャンプ27号(6月14日号)』で連載を開始し、本誌には 2009年『少年ジャンプ22,23合併号』(第186夜)まで掲載。以降2009年『赤マルジャンプ9月20日号」に第187夜掲載を経た後、第188夜からは同年11月発売の月刊『ジャンプSQ.12月号』で連載再開。以後2013年刊行『SQ.2月号』の第218夜まで掲載。同年『SQ.4月号』誌上で編集部より「再開未定の一時休載」告知。そしてとうとう2015年7月17日発売の季刊誌『ジャンプSQ.CROWN(スクエアクラウン)』に場を移し連載が再開しました。 コミックスは2013年11月に24巻発行(第218夜まで収録)・25巻は2016年6月3日発売です(第219夜-第222夜)。 2016年7月から9月まで、新作TVアニメシリーズ「D.Gray-man HALLOW(ディーグレイマン ハロウ)」がTV東京系列で放映されました。詳細はアニメ公式HP http://dgrayman-anime.com/ をチェック。◇◇◇ 星野桂先生あてファンレターの送り先は以下の通り。       ↓  
プロフィール

キャンピー

Author:キャンピー
Yahoo!ブログから移動して'12年10月25日オープン。
それ以前の日付記事は旧ブログからの訂正版です。

生年:不明。35年前には存ざ(ry
BD/Btype:8月某日(Leo)/AO型
身長:160cm
体重:標準(自称)
家族:5人。夫と子供3人(男・男・男)
好物:漫画はDグレでお腹一杯。

<他ツイフィールまで> http://twpf.jp/ripvansf
   

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