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第232夜「A.Wに別れを告げる・赤腕とピエロ」②

コミック17巻で師弟会見に臨んだアレンの回想でちょっと触れ、あとは小説版3巻でしか見れなかった「主人公が“アレン”になる以前の物語」がいよいよ始まりましたね。 
アレン自身が語り部ということは、本人が見ていない部分は省略でしょうか… 伯爵がマナを追って現れたシーンとか。 
どう描かれるかは この先も楽しみです。



▽ 扉絵

副題は 「赤腕とピエロ」

アオリは 「ずっと独りだった。 ずっと寂しかった。 きっと誰かを求めてた。」
「きっと」というのは、当時のアレン自身も無意識のうちに押し込めていた本音だったからでしょうか。

絵は、舞台で喝采を浴びるピエロマナと背中合わせに立つ みすぼらしい身なりの少年にスポットライトが当たっています。
これまでカバー絵や扉絵で何度かあった、アレンが左・マナが右に立つ構図から ぐるっと回ってアレンを正面に捉えたところ。
幼いながら真っすぐ前を向いた瞳が印象的です。
(そういえばこの「アレンの背後にピエロマナ」の図は、第220夜の扉絵も思い出しますねw)

--- え~と ここで唐突ですが、「赤腕」の連呼がどうにも忍びないので 主人公の少年は「アレン」と呼ばせてくださいね ---


▽ 本編

たった7歳(推定)の身で、サーカスの裏方でこき使われていた孤児のアレン。 ここに来る前のことは不明。
ほとんど動かない左腕をかばいながら次々与えられる仕事を必死でこなすが、彼に優しい言葉をかけてくれる人は誰もいない。
当時はちゃんとした名前すらなく、大人たちからは「赤腕」という蔑称で呼ばれていた。


〇 仕事
全身薄汚れた小さな体で重そうなカートを押したり、震える左手で支えながら団員の食事を配って回る姿が切ないですね。
慣れない頃は カートを倒して殴られたりしたこともあったのでは…?
大勢の大人に囲まれながら、甘えるどころかゆっくり寝ることすら許されない環境なんて(´;ω;`)  


〇 マナと雪だるま
当時のマナはたまたまサーカスと合流した流れの芸人でしたが、それにしたって わざわざ寒空の下でひとり熱心に雪だるまを並べている中年男なんてだいぶ怪しげです。
ただ本人の感覚じゃ “つい先日まで17歳”なんでしたっけ。 ←(小説版のネタバレ、失礼)
アレンが持ってきた質素な食事にも 「わあおいしそうですねぇ」と、子供のような歓声を上げる彼。

でもその直後に、「飯はまだか」と怒鳴るコジモに邪魔されて 二人の会話は続きませんでした。
並んだ雪だるまとおじさんと犬と子供という取り合わせ、ほのぼのしてとてもいい絵でしたのに~!😞 

雪だるまは大きいのが1つと小さいのが7つ。 手が凍えるのも厭わずずいぶん頑張りましたww 
これを作りながらマナの脳内で繰り広げられていた物語は一体どんなだったか。 
アレンがマナから聴かされたという、友だちゴーレムのお伽話も こんな時にできたのかもしれませんね。


〇 サーカスと見世物小屋
この話の舞台は、クリスマスムード一色の「エディンストン」(という架空の街)。
テントを張っているのは「ガーベイサーカス団」    “ガーベイ”が団長の名前でしょうか。

華やかな舞台は大盛況、押し寄せた観客も裕福そうな中流階級の人間ばかり。 ショーが終われば皆、満足げな表情で帰っていきます。
ガーベイ団長、商才だけは確かなようでした。

19世紀後半のイギリスは、大衆娯楽としてサーカス興行が大盛り上がりだったとか。
ただ 誰もが連想する主流のショー(猛獣ショー・空中ブランコ・ピエロ芸等)と対照的に、大テント脇にひっそり併設されるような見世物小屋(サイドショーまたはフリークショーと呼ばれた)では、キワモノ的パフォーマンスや、当時の欧米では珍しがられた肌色の異国の人間や、小人症その他身体に障碍を持つ者までが「みせもの」にされていました。 
団長やコジモが言及している以上、ガーベイサーカス団にもそれがあったわけですね。 

あだ名の「赤腕」とはおそらく、実際にアレンが「見世物小屋」に入れられた時に付いた名で。
雑用係で働く今もなお 脅し目的で使い続けるコジモや団長の底意地の悪さったら測り知れないですね。


〇 コジモ
小説版初見から忘れられないキャラですが、あまり容姿に恵まれたイメージが無かったんですよね。 陰湿ないじめ描写のせいでコンプレックスの塊のような人物に見えたからか。
でも今回本編に登場した彼は、普通にハンサムで 舞台上では身長188㎝のマナと並んでも見劣りしない長身でした。
それだけに、力のない小さな体のアレンをいたぶる様子がなおさら嫌らしいですが。

この話を“聴いている”神田に映像は見えてないわけですが、仮にコジモがアレンを足蹴にする場面を目にしていたら……
神田の古い記憶に登場した、止めを刺しに来たAKUMAピエロの姿と重なって、いたたまれなかったでしょうね。

コジモもここの看板スターとしていい思いをしていた時期の反動で、突然現れたライバルに実力差を痛感させられ 我慢できなくなったんでしょうか。
この先さらにエスカレートする彼の悪行を思うと、本当に気が重いです。


〇 団長
アレンをうっぷん晴らしのはけ口にしているコジモも酷いですが、この団長の方は逆に“心がない”。 身寄りのない哀れな子供を生殺与奪も思いのままの道具=金ヅルとしてしか見ておらず、最悪です。

アレンの口元を嫌らしく撫でながら、“この顔立ちなら成長すれば化けるかもな…”と、どこまでも金儲けの材料として冷酷な皮算用をしているようにも見えました。
本能的な危機感か、背筋に悪寒が走るアレン。 結局こんな所に長居せずに済んで 本当に良かったですね。


大人たちの虐待からようやく逃れ、アレンはついさっきの「おまえは私の所有物」という団長の言葉を反芻しながら 心の中で激しく抵抗していた。
「ちがう」  「いつか絶対見返してやる」  「オレは誰の思い通りにもなるもんか」


〇 強い自我
どうしても神田の過去編と比べてしまいますが アレンのこの反発心、過去を封印され胎中室から生まれたばかりという状況のユウが、身の回りの環境をそういうものとして受け入れるより前に「こんな所…」と冷ややかに見ていた姿に近いものを感じます。

実際その認識は正しいのですが、通常一個の人間として(自分と他者を区別する)自我を確立するためには、時間をかけて体験を積んでいくプロセスが必須のはずで、その土台となるべき“過去”を持たない彼らの一足飛びの老成ぶりはちょっと不自然に映るのですよね。
つまり何が言いたいかというと、アレンもまた まっさらな状態で誕生してきた普通の子供ではないのでしょう。


誰かの歌声を耳にして、アレンはそちらに顔を向けた。
降りしきる雪もお構いなしで、1本の木にもたれながら あの流れのピエロが唄っていた。
奇妙な行動ばかり目立つ彼を訝しみ、ちょっと「気味が悪いな」と少年は思った。
でも何だろうあの歌… どこかで聴いた気がする

始めはつつましく直立不動の態勢だったピエロ、だんだん気持ちが乗ってきたか 朗々と歌いながら大きく両手を広げ、雲間から覗く満月に訴えかけるように声を張り上げた。

その時 呆然と聴いていたアレンの左目から突然涙がこぼれ落ちた。 別に歌に感動したわけじゃない。
訳が分からず慌てて涙をぬぐっていると、今度は「ワン!」と元気な犬の声。 このピエロの犬だ。
ピエロはぱったりと歌うのをやめ、一人と一匹は小走りでテントに戻って行った。

「…変な奴」
それがアレンの感想の全てだった。 
所在なげに一人で戻っていく少年の姿を、テントの上に止まったゴーレムがただじっと見つめていた。



〇 子守唄を歌うマナ
まだこの段階ではアレンにとってマナは何を考えているのか分からない“変なおじさん”以外の何者でもありませんが、小説版通りに行くなら今後マナがアレンに自分の身の上を話す場面がある筈です。
それによると、かつて彼は追ってくる「千年伯爵」から「弟」と二人で逃げていたと。
ところがある時弟とはぐれるわ、自分は一晩で「おじさん」化してしまうわで。 とにかく未だ弟を探しながら旅を続けている最中なのだと。

少なくともこの頃のマナの認識では、自身は恐怖の対象=千年伯爵とは別人なんですよね。 
四半世紀前にネアが死んだ(ましてや操られて自分が殺した)という記憶から先は、ゴッソリ抜けている。
そのうえ肉体が普通人レベルに歳を取っている。 
ネアマナに変化する前の7000年生きていた千年伯爵が ずっと若い姿を保っていたことを思うと、考えられないことです。

こうしてみると 当時の彼は、一旦「千年伯爵」の宿主になりながら再び分離した状態とみるのが一番素直じゃないかと思いますが、今先走ってあれこれ言っていても埒が明かないので 本編の描写が出て以降にじっくり考えたいですね。

前回特に気になった、アレンがここで既に「子守唄」の歌詞やメロディに触れてしまった件もとりあえず保留としまして。
 
月に向かって子守唄を歌ったマナの心境やいかに…
心は「17歳」のまま、はぐれてしまったネアはもちろん 懐かしい故郷の風景や 唄を教えてくれた母さまや屋敷の人達の姿が走馬灯のように浮かんでは消え…という感じかな。 ひたすら幸せだった時代を恋い慕うピュアな気持ちだったかと


〇 流れる涙
だいぶ前に「ネア絡みで左目描写が目立つ」という記事も上げていますが、それとは別に ここの左目だけが泣いているアレンの様子、アルマ編で本体の記憶につられてユウが「愛している」と泣いた場面も思い出しますよね…
結局神田の中に「本体」時代の自覚は戻らなかったのに。 その意志とは無関係に、脳の中に眠る古い古い記憶のなせる業でした。
今回のサーカス時代のアレンにしても、まだとてもネアの片鱗すら覗いていない頃でしょう。 
でもアレンの奥底に確かに存在したこの唄にまつわる記憶… それはネア=D=キャンベルだけでなく、美しい田園風景に感動して泣いた千年伯爵の元にまで通じているのでしょうから。

理屈はどうでも、大変美しい描写だと思います。



では、第232夜はここまでで。
次号発売日の予告はまだですが、きっとあと1月というところでしょうね。 待ち遠しいです。
それではまた!

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コメント

Re: 空がさんへ。

こんにちは! 随分長くお待たせしてしまいましたが こちらにも御感想を沢山ありがとうございます。
原作を読み解きたい想いが強すぎて、もしかしたら私も 作者さんが考えてもいない方向に空回りしてそうですが、そこはもう解釈は自由とお許し頂いて 人の数だけバリエーションを楽しむ方向で!(^^;

御想像の通り。アレンも、人生の始まりに過酷な環境に置かれた影響はきっとありますよね。 

例えばアレンさん、戦闘に巻き込まれたりしてトラウマを抱えそうな子供には特に優しく接してあげていたよねぇと(「星のおにーちゃん」の少女とか、ピエロ姿の時救出した子とか…)今日全然別のアニメを見ていて思い出したんですが(笑)

それはもちろん、自身も10歳でAKUMAマナに殺されかけた恐怖体験があって理由的にはそれが一番かも知れませんが、今回のサーカス時代でも日常的に どれほど辛い目・怖い目に遭っても周囲の誰も助けてくれなかった事とかが…
相当尾を引きそうな案件だったじゃないかと。

でもそれが彼にとって悪い方に作用せずに、目の前の弱者(の心)に手を差し伸べる優しさに昇華できたのは、マナや師匠のおかげしかないだろうと思います。
(この辺も私の勝手な想像なんですけど… 事と次第では 今後本編にお目見えするであろう人でなし師匠が絡むシーンで吹っ飛びそうな甘々観測ですねw)

> 老成ぶり
私が漠然と感じた「不自然さ」がどれほど妥当なものかは分かりません。
外界と遮断された環境といえ、ユウだって本を見たりアルマや博士達から話を聞いたりである程度「外の世界」の想像はできたでしょうし
アレンの方は連日押し寄せる観客たちの中に 自分と住む世界が全く別の裕福な子供達の姿は見ていたはずですし…

どうしても小説版初見の時からの、7歳児(仮)の「オレは愛が欲しい」という台詞への違和感は拭いきれませんが、ファンタジー世界で言葉尻を捉えてあまり屁理屈をこねるのも興醒めですよね~ww 
ですので適当にしたいと思います。 


「6/6」の方も、言及ありがとうございます。
アレンとは対照的に 神田の愛の注ぎ方が一極集中型なのも素敵ですよね!

それではまたv 次のお話が楽しみです。ありがとうございました。

ありがとうございます。(そっとお待ちしておりました) *^^*

神田さんの古い記憶の「AKUMAピエロ」とのご連想に「おおお~~~」っとなっております。本当に重なります!重なりますね!! 二人とも、辛いです。
私はこの号のそのシーンは、初見時、2巻でバズの首根っこを吊り上げる神田さんに重ねて読みました。アレンさんがあの時「関係ないとこ悪いですけど」と怒ったのは、(神田さんがたぶんそう誤解したような)甘さや正義感からじゃなくて、幼少期の感情が噴き出したから(神田さんとコジモを重ねて)カッとなったのかも…なんて連想しまして。
ですのでキャンピーさんの連想をお聴きできて、全く違っていて嬉しくて感動していました。そんなところが大好きでありがたいです。

団長の思惑のご考察についても、「そうか!」と!我に返りました。確かに手元で何年か反抗心をそぎ落として馴らしておいて(←言っている自分に一番嫌悪感です!)、そのあと色町などに高値で売られたりしていたかも…しれませんよね、団長のシナリオとしては。アレンさん、かなり可愛い顔立ちですし、事実このあとますます可愛く成長しましたから・・・確かに金づるを見る目があった、と(←言ってる自分に激しく嫌悪)…あぁもう、まったく非道な、想像だにしたくない、とても許せません…(物語の救世主、マナさんにひたすら感謝です ;_; )

どうにも今号は特に私は、大人二人に対して「うぉぉ~嫌らしい気持ちわるい悔しい!!!!」というところの感情に引きずられて、ちっとも冷静に背景把握ができなかった読者ですので ^^; そんな自分だけの極狭な視点では見れない世界を見せていただけて、いつもありがとうございます。

そして「一足飛びの老成ぶり」のところが、まさに同じ二つのシーンで、モヤモヤを感じながらも一体何なのか分からないで読んでいたのを、ずばりと言葉にしてくださいました!
「あのモヤモヤは、不自然さだったのか!!!」となりました。あぁ、ありがとうございます!!!

マナと千年伯爵の関係のところは難しすぎてバッチリ置いてけぼりをくらっており、すでに「なんとなくの雰囲気だけ感じて読書」に徹しておりますので (-_-;)、どうか、これからも助けていただけましたら…頼りにさせてください。
次号、楽しみですね!!!
(そして6/6の記事、大好きです…滅多に涙を見せない人の涙は本当に切ないです…)

Re: 本日非公開コメントを下さった方へ

だいぶ以前にも同内容のお誘いを頂いていたと思いますが… 
ジャンル違いのため御期待には添えかねます。あしからず。

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生年:不明。35年前には存ざ(ry
BD/Btype:8月某日(Leo)/AO型
身長:160cm
体重:標準(自称)
家族:5人。夫と子供3人(男・男・男)
好物:漫画はDグレでお腹一杯。

<他ツイフィールまで> http://twpf.jp/ripvansf
   

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漫画「D.Gray-man」は、2004年5月31日発売の『週刊少年ジャンプ27号(6月14日号)』で連載を開始し、2009年『少年ジャンプ22,23合併号』(第186夜)まで掲載。 以降2009年『赤マルジャンプ9月20日号」に第187夜掲載を経た後、第188夜からは同年11月発売の月刊『ジャンプSQ.2009年12月号』で連載再開。そこから2013年刊行の『SQ.2013年2月号』の第218夜までを掲載。 同年『SQ.4月号』誌上で編集部より「再開未定の一時休載」告知。 2年半の長期休載を経て、2015年7月17日発売の季刊誌『ジャンプSQ.CROWN(スクエアクラウン)』に場を移し連載が再開しました。 その後、掲載誌は2018年4月16日発売号より『SQ.RISE(スクエアライズ)』とタイトルを変えてリニューアル。現在も継続中です。 コミックスは2013年11月に24巻発売(第218夜まで収録)・2016年6月3日に25巻発売(第222夜まで)・2019年2月4日に26巻発売(第230夜まで)。      <星野桂先生のインスタグラムアカウント(@Katsura_5600)も現在元気に更新中>   
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