第233夜「A.Wに別れを告げる・The way of the Three」④

いよいよ明日が、次号の発売日ですね。
宿題が前の晩ギリギリになっちゃいましたが(情けな…)、ともあれ第233夜の感想はこれが最後。




◇ マナ

どこか遠くから 耳慣れた声が響いてくる。
--- ……ナ  …けろ ---     --- マナ  歩き続けろ ---

目を開ければそこは 懐かしい故郷の麦畑の中だった。 マナは、今聞いた声の主を呼ぶ。
「…ネア?」

どうも様子がおかしい。 あたりに人の気配がまるでない。

「ネア」  「母さま」
「ふたりとも どこ…?    どこ……」

猛烈な不安が彼を襲うが、その嫌な予感は的中した。
ふり返った視線の先に、無言で佇(たたず)む千年伯爵がいたのだ。

「…くるな」
ようやく声をふり絞ったマナの姿はその瞬間、初老の旅芸人から この地で過ごした十代の若者に戻っていた。 

歯をむき出し不気味な笑顔を貼り付けたまま、こちらを凝視するばかりの千年伯爵。 
マナは、立ちすくんで目に涙をにじませ 必死で叫んだ。
「くるな」  「こっちにくるな」      「 く る な !! 」

マナは夢中で跳ね起きた。
彼は サーカスのテントに団員と一緒に寝かされていたのだった。
ベッド脇にはいつものように犬のアレンが控えている。 隣には何も気づかず平和ないびきをかいている団員も。
ただ一人マナだけが、全身汗びっしょりで息を荒げていた。

飼い主の様子を心配そうに見つめながら、犬のアレンがベッドに上がってきた。
「アレン…   ありがとうアレン ちょっと怖い夢をみてしまいました」 「大丈夫ですよ」
優しい相棒をぎゅっと抱きしめ、かける穏やかな口調とは正反対に、マナの動悸はいつまでも続いていた。 
あの 絶望の感触が、体を捉えて離さない。

--- ネア…  どこにいるの ネア…… ---      --- 僕はここにいるよ…… ---

<第233夜より>



● よく似た夢

読み手の不安をあおるように、今回登場したマナの不吉な夢の描写は 第222夜でアレンが見たものに似ています。
(…まあ時間順ではアレンの方が9年後ですから、そちらがそっくりさんと言うべきでしょうが)

目を開けるとそこはキャンベル邸の麦畑 
⇒ 周囲は不気味なほどの静けさ 
⇒ 思わず強い不安に駆られると同時に、姿が若返ってしまう 
⇒ そこへ自分の存在を消し去ろうとする相手がやってくる (=人格消滅の危機)

この場所に脅威を感じて若返った時の年恰好が、アレンの方はエクソシストを目指して一歩踏み出した日の姿になっていましたが、それでいくと16,7歳?のマナの方はネアと二人、ノアの運命に抗う決意で逃亡生活を始めた頃だったでしょうか… 

ただし似ているといっても両者の夢には大きな違いがあります。
まずこの風景がマナにとってはよく知る故郷なのに アレンにとってはまったく馴染みのない土地ということ。

よってマナが千年伯爵と対峙するピンチと似た状況を探すなら、私は 北米支部でアレンにノアへの本格覚醒が始まった時見た夢が近かったと思います。 
椅子に鎖で縛られて動けないアレンに 自称「ネア」が近付いてくるところ。 
あの時の彼こそが、今回マナの前に立った千年伯爵と同様 アレンを飲み込もうとした張本人でしょう。

そしてその時のそいつ(「ネア」)は、クロスがティムに仕込んでおいた結界破りの術で撃退させられたんです。
皮肉にも、第222夜で麦畑に現れてアレンを消したがっていた「師匠」とは正反対の行動になるんですが さて。

まったく どれが本物でどれが偽物なんでしょうかw  判明する日が待ち遠しいです。 


● 消えた記憶

麦畑で途方に暮れ、まるで近くにいるかのように 「ネア」「母さま」 と、とっくに死に別れた人達を呼ぶマナ。 
ちょっと怖いです(^^;
彼は目が覚めてからも「ネア どこにいるの」と切実に助けを求めていますから、本当にあの記憶が無くなってしまっているのは確かですね。

P91501653.jpg (引用画像:第220夜より)  
P91501643.jpg (引用画像:第218夜より)


そして どちらの死にも立ち会っていた千年伯爵…

ネアもカテリーナ(母さま)も、「千年伯爵」に捕まってしまった時のマナ自身が手に掛け、ふたたび伯爵メモリーが彼を離れると同時に二人の殺害の記憶も抜けた… という見方が一番単純かなと思うのですが、そもそも宿主がメモリーから離れたりまたくっ付いたりできた事情がわかりませんしね。
ただ、7000年若々しい肉体を保ったかつての千年伯爵とは 何か決定的に違うことがマナの身に起きているのだけは確かです。


● だいじょうぶ

アレンさんのちっとも大丈夫でない時の「お守りのよう」な「大丈夫」は、やはりマナに影響されたものだったんですね。

とりあえず、この頃のマナにもちゃんと自分を心配してくれる相手(アレン犬)がいて、その自分より小さな存在を逆に気遣うことで辛うじて精神をマトモに保っていられたんでしょう。

そこからさらに 「生意気で捻くれたガキ」のアレンさんへと相棒が交代して、より生き生きとした反応を見せる少年との生活に マナの心がどれほど潤されたことか。

一方のアレンから見たマナの存在の大きさも、これから本編でじっくり語られるのが楽しみです。


それでは一旦ここで。 おやすみなさい。





 
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